SMALL BATCH Columbus

2026年4月——多くの人が“史上最高のゴルフトーナメント”と称するあの戦いから、
40年の時が流れた。

1986年、5度のチャンピオンに輝いたその選手は、すでにキャリアの黄昏を迎えていた。いや、もしかするとその先にいたのかもしれない。
それでも、まだ魔法は残っていた。

10番、11番でのバーディがギャラリーの空気を変え始める。
13番でもうひとつ。
ざわめきは次第に大きくなっていった。

そして15番。
5番アイアンで放ったショットは15フィートへ。
ざわめきは歓声へと変わる。
イーグルパットが沈んだ瞬間、その熱狂は一気に爆発した。

16番でもバーディ。
あり得ないと思われていたことが、もはや“不可能ではない”ものになる。
さらに17番でもうひとつ。
気づけば、それは運命のようにさえ感じられた。

運命の巡り合わせというべきか、その瞬間を生み出し、あの歓声を響かせたパターは、伝説的デザイナー、クレイ・ロングによって設計されたものだった。
彼は私たちにとって、何十年にもわたる家族ぐるみの友人でもある。

約1年前、私たちはクレイに連絡を取り、1986年に使用されたそのパターを現代的に再構築するコラボレーションに興味があるかを尋ねた。

返ってきた答えは、力強く、そしてこの上なく熱意に満ちた「YES」だった。

THE EVOLUTION OF AN ICON

Small Batch Columbusは、ゴルフ史に残る偉大な勝利を支えたパターを、現代的に再解釈したモデル。

伝説的デザイナー、クレイ・ロングとの協業によって生まれたこの一本は、その象徴的なデザインのDNAを受け継ぎながら、現代のゲームに合わせて再構築されている。

現代のコースコンディションに対応するため、コロンバスは360gのコンテンポラリーなヘッド重量を採用。

オリジナルモデルは、高い慣性モーメント(MOI)を実現し、あらゆるミスヒットへの寛容性を高めることを目的に、あえて大型ヘッドとして設計されていた。MOIは6,000を超え、そのためブレード長は6インチという、現在の基準を大きく超える長さが与えられていた。

しかし、その高性能にはトレードオフもあった。重量を適正に保つため、オリジナルではスチールではなくアルミニウムを採用。もしスチールで製作していれば、ヘッド重量は実用域を大きく超えてしまっていた。

THE "BIG GUY LEAN TEST"

オリジナルヘッドは、ホーゼルを含めすべてアルミニウム製だった。軽量である一方、アルミニウムはスチールほどの強度を持たず、耐久性には課題があった。

1985年の開発時、クレイは試作サンプルを数人の仲間に手渡した。ところが、彼らの何人かが従来通りパターに体重をかけて構えた際、ホーゼルが折れてしまったという。

これが後に、“BIG GUY LEAN TEST”として語られるようになる。

当時は耐久性を大きく改善する手段が限られていたため、最終的にそのパターを手にしたチャンピオンへ伝えられたアドバイスは、実にシンプルだった。

「強く寄りかかりすぎないこと。」

そんな背景を踏まえ、私たちはクレイとともに、オリジナルデザインの再構築に取り組んだ。掲げた目標は明確だった。

・ヘッド重量を360gへ
・ブレード長を5.5インチへ最適化
・オリジナル同等のMOIを維持
・サウンドとフィーリングの向上
・“BIG GUY LEAN TEST(BGLT)”をクリアすること

ENTER 904L STAINLESS STEEL

私たちには、“BGLT(BIG GUY LEAN TEST)”をクリアするためのアイデアがあった。

Small Batchシリーズで私たちが信頼を寄せる素材が、904Lステンレススチールだ。高い強度に加え、ミルドやポリッシュによる美しい仕上がり、そして優れたサウンドとフィーリングを生み出す素材でもある。

コロンバスの大きなヘッド形状は、異素材を組み合わせたマルチマテリアル構造を可能にした。そこで、ホーゼルを含むフロントセクションを904Lステンレススチールから削り出すことで、耐久性の課題を解決した。

一方で、ヘッド全体を904Lで製作すると、重量は実用域を超えてしまう。

そのためリアセクションには、クレイのオリジナルデザインを尊重し、アルミニウムを採用。コロンバスは、フロントに904Lステンレススチール、リアに航空宇宙グレードの6061アルミニウムを組み合わせた、真のマルチマテリアル・オーバーサイズブレードとして完成した。

この構造により、サウンド、フィーリング、重量、そしてブレード長という目標を実現すると同時に、“BGLT”という課題もクリア。

その結果生まれたのは、オリジナル同等のMOIを維持しながら、より洗練されたサイズ感と高い実戦性能、そして私たちが求めたサウンドとフィーリングを備えた一本である。

ONE FINAL CHALLENGE

まだ、最後に乗り越えるべき課題が残っていた。

1986年のチャンピオンパターは、ブラックのヘッドにシルバーのフェースという特徴的な仕様だった。当時はアルミニウムヘッドにブラックのスプレー塗装を施し、フェース部分のみを削り出してアルミ地を露出させることで、シルバーの表情を生み出していた。

ただ、その手法を2026年のものづくりにそのまま持ち込むつもりはなかった。

そこで私たちは、新たなアプローチに挑んだ。

まず904Lステンレススチールのフロントセクションを削り出し、通常通り仕上げまで完成させる。そのうえで専用治具を製作し、フェース部分のPVDだけを超精密なトリプルフライカットで丁寧に削り出した。

こうして生まれたブラックヘッドとシルバーフェースのコントラストは、美しさと機能性を兼ね備え、最後の課題を見事に解決した。

そしてトゥには、私たちの長年の友人であり伝説的デザイナーでもある、クレイの名が誇らしく刻まれている。

IT ALL COMES TOGETHER

仕上げのディテールには、1986年、あの日曜日の記憶を映し出した。

ソールにはアザレアを思わせるカラーを採用し、ゴルフシーズンの幕開けを象徴するクラシックなグリーンとイエローを表現。ヘッドカバーには、チャンピオンを象徴するイエローのシャツとチェックパンツへのオマージュを込めている。

コロンバスは、ノスタルジーと現代的なパフォーマンスを融合させた一本だ。

サイズ、サウンド、フィーリングを磨き上げながら、MOIはオリジナル同等となる約6,000を実現。より扱いやすいサイズ感へと洗練させながらも、私たちがこれまで手がけてきたパターの中でも屈指の寛容性を備えている。

また、904Lステンレススチール製ホーゼルを最適に配置することで、23度のトゥハングを実現し、バランスの取れたパフォーマンスを追求した。

KBS Stepless CT TourシャフトとカスタムToulonピストル・ミッドサイズグリップを組み合わせ、一本一本をお客様の仕様に合わせて仕上げている。

SPECIFICATIONS:

ヘッド素材:904Lステンレススチール / 6061 エアクラフトアルミニウム

仕上げ:ブリリアントブラック

フェースミル:ウルトラファイン トリプルフライカット シルバー

グリップ:Toulon ピストル ミッドサイズ コロンバス

シャフト:クローム ステップレススチール

ヘッドカバー:Small Batch カスタム コロンバス

ヘッド重量:360g

トゥハング:23°

ロフト:3°

ライ角:70°